トランプとニクソンとキッシンジャー

headlines.yahoo.co.jp

headlines.yahoo.co.jp





トランプ大統領が弾劾裁判になるとか、ならないとか話題である。

現状では弾劾裁判のハードルは高いので可能性は低い。しかし支持率が低下するのは確実で、弾劾裁判ではなく、大統領が辞任すると言う可能性は大きい。弾劾裁判に訴追されたニクソン大統領も「自ら辞任する」言う決断をした。大統領として被告人にはなりたくない。歴代大統領の汚点になる。そんな不名誉な汚点を残すために大統領になった訳ではない。

ニクソンが弾劾裁判になったのは「ウォーターゲート事件」だ。今回のトランプ大統領の件もそれにかけて「ロシアゲート」と言われている。なので、トランプとニクソンを重ねて考えてみたい。

ウォーターゲート事件は、ニクソン陣営が大統領選挙で行った、民主党に対する選挙妨害が発端である。民主党本部にある「ウォーターゲートビル」に不法侵入して盗聴器を仕掛けたなどである。これが露見するとニクソン大統領はFBIに圧力をかけて捜査妨害したとか、隠蔽を図ったとか疑惑が起きる。行政のトップである大統領が捜査機関に圧力をかけるのも問題になった。

今回のトランプ大統領の「ロシアゲート」と似た構図になっている。大統領選挙に関する選挙妨害と民主党本部に対するハッキングとサイバー攻撃。その捜査妨害疑惑とFBIに対する圧力である。FBI長官の更迭もある。捜査機関に対する大統領の介入と言われても致し方ない。公聴会が開かれるが、更迭されたFBI長官は証言するのだろうか?。大統領は元FBI長官の人格攻撃もしているようだが「証言するに値しない」と召喚を拒否する構えである。

なので、ニクソン大統領の末路とトランプの今後を重ねて考えてみたい。まずニクソンである。彼は歴代大統領でも評判が悪い。任期中に辞任した大統領も彼だけだ。

しかしニクソンの政策はその後の合衆国や世界に影響を与えた。ニクソンを評価する見解はその政策を「ニクソンの功績」としている。それは「ベトナム撤兵」と「ドルショック」である。これはニクソンでなければできなかったとする見方は多い。

ベトナム撤兵」その通りの意味である。ベトナム戦争から撤退して戦争を終わらせると意味だ。それはその前の政権では出来なかった。泥沼で誰も勝てるとは思ってないが、惰性でやっていた戦争である。それをニクソンは精算した。そのためにベトナムに介入していた中国共産党と和解して国交を樹立する。それに引きづられて田中角栄が北京に行って国交回復である。ベトナム戦争を終わらせる為には中華人民共和国を認めて介入を止めてもらうしかない。そのせいで当時台湾に亡命していた蒋介石政権は「国家」では無いと言う扱いになる。日本も中国の政府を「中華人民共和国」であり、台湾とは正式な国交がない。国家として承認できないのだ。中国と台湾の問題は実質的にはその前からあったけど、正式にアメリカ合衆国が中国を国家承認したために、今日の「台湾政府」がある。国として認めることができないのだ。

「ドルショック」は今日の通貨体制に関係している。第二次世界大戦終わって「国際基軸通貨」をどうするか?と言う話になった。イギリスは衰退の一途なので「ポンドでは国際基軸通貨になりえない」のが明白になってきたのだ。そして世界大戦の影響が少なく、経済発展した「ドル」を国際基軸通貨にした。IMFが出来たのもその頃である。そしてその頃は通貨の交換レートは固定である1ドルは360円であった。

そして「通貨とは何か」と関係する。世界の不変の通貨は「金」である。紙幣は紙なので当然「金ではない」なので紙幣は「金と交換を約束する政府の証券」が紙幣の概念だ。これを「金本位制」と言う。つまり国家は「自国が持っている金より多い紙幣は発行できない」と言うのが「金本位制」である。債務不履行になるからだ。

そして、金1オンス(28.3495グラム)を35ドルとして各国の通貨の交換レートを決めた。つまり「35ドルを銀行に持っていけば金1オンスと交換できる」からドルが「国際基軸通貨」となりえるのである。

しかし、ベトナム戦争の戦費調達の為、アメリカは大量のドルを乱発した。結果発行通貨が「金本位制」を担保できなくなった。35ドルあれば「金1オンスになる」のが建前である。世界中のドルを金に転換されたら、ドルの「金本位制」の債務不履行だ。そして実態に合わない交換レートが金融不安となった。ドルのインフレである。それはアメリカ政府も知っていたけど、誰も精算をできなかった。そんな事をしたら、通貨体制の崩壊である。先送りするしかない。

それをニクソンは断行した。「ドルと金の交換はしない」としたのだ。これなら債務不履行にならない。でも「金の交換を踏み倒す」ようなものだけど、ドルを乱発しちゃったからそうするしかない。強行着陸である。被害が出るのを覚悟して断行した。

そして、通貨レートは変動相場制になって、円高は進み1ドル250円になった。100円以上円高になったのである。こうして日本の高度経済成長は終焉をむかえる。高度経済成長の背景には「ベトナム戦争特需」があると言う経済学者もいる。ニクソンの「アメリカの政策転換」はその後の日本に大きな影響を与えているのだ。功罪はあるだろうが「ニクソンがその後の世界秩序を変えた」のは間違いない。角栄の訪中はニクソンの「米中国交樹立」なくしてはありえなかったのだ。

そして、アメリカの「ウォーターゲート事件」日本にも飛び火する。「ロッキード事件」だ。事の発端は「ウォーターゲート事件の捜査関連で発覚した。ニクソンへの不正献金」そのリストの中に「ロッキード社の旅客機の導入の見返りに、田中角栄ロッキード社が賄賂を贈った」のが「ロッキード事件」である。ニクソンが逮捕されなければ、田中角栄も失脚はしなかった。

キッシンジャーニクソンのブレーンである。側近の一人で、中国共産党の交渉も担当していた。米中国交樹立の根回しをしたのはキッシンジャーである。御年94歳で共和党の重鎮である。トランプ政権についても発言してるし、日本のメディアも取材にも受けたりしている。94歳になっても、まだ意気盛んだ。アメリカの外交政策には何かと登場する人物である。トランプ外交も「後ろにキッシンジャーがいる」と言う話もある。共和党の重鎮でもあるからだ。

何しろ「ありえない」と思っていた米中の国交樹立を成し遂げた人物である。ロシアとの関係改善も中東情勢から考えれば、ロシアの協力なくしては難しい。とにかくアメリカは「アフガンとイラクとシリアを精算」しないといけないのだ。泥沼の紛争をどうにか終息させて「アメリカのメンツを保った上で撤退」しなければいけない。そのためにはロシアに譲歩もしないといけないだろう。もちろんアメリカ人の「ロシア嫌い」は定番だから、そこでトランプを弾劾しているわけである。アフガンは特に旧ソビエト時代に侵攻した隣国である。ロシアと協議しないと上手くいかない。「テロ戦争」に関してはロシアの力も借りないとできないと思うけどね。強行着陸で「クリミアはロシアで良い」とか決断を迫られるだろう。ベトナム戦争の二の舞である。もう不毛で泥沼だが、撤退しようにも、撤退できない。オバマのように先送りするか、ニクソンみたいに失脚の代わりに決断するかである。現状では「ロシア強硬路線でシリアにも派兵」しそうだが、これは問題の先送りでしかないだろう。

もちろんベトナム撤退とドルショックは「偉大なアメリカ」の「終りの始まり」である。このアメリカの方針転換の生贄にニクソンはなった。誰かが責任を取らなければ収まらないのだ。ニクソンベトナム戦争の後始末と敗戦処理のために大統領になったようなものだ。そして責任を取らされて不名誉な辞任である。

そしてトランプである。彼が本気でテロ戦争を精算するなら、ニクソンのように生贄になるしかない。どっちみち「アメリカの時代」は終りになりつつあるのだ。「偉大なアメリカ」になんて戻りっこ無い。オバマは「アメリカは変わる」と言う幻想を見せて当選した。でも結局イラク戦争、アフガンの問題は精算できなかった。単に先送りしただけである。そしてこれは、ケネディベトナム政策とも私にはかぶって見える。ケネディベトナム戦争を先送りして、介入を拡大させただけだ。そしてケネディの「アポロ計画」も「偉大な国アメリカの幻想」にも見える。月に行って国威は発揚したがそれだけだ。現実にアメリカ兵がベトナムで戦死しているのだ。

オバマケネディも大統領としては評価され、ニクソンは汚名を背負って辞任した。これも運命と言えばその通りだが、ちょっとは評価されても良いような気がする。トランプだって「もうアメリカは世界の警察はできない」と思っているだろう。そこまでバカではないと私は思っている。あとは決断するか先送りするかである。決断して強行突破した結果、世界がどうなるかは分からない。「アメリカが覇権国家を止めて普通の国になる」ってことだからね。日米安保の重要度も変わって来るだろう。パリ協定離脱もはた迷惑な話だが、どうせならアメリカ抜きの国際秩序になるのも面白い。普通の国になるなら孤立するならすればいいって話にもなる。TPPもアメリカ抜きでやっちゃえばいいのだ。

トランプの弾劾騒動を見ると「トランプはニクソンのように生贄になるのだな」と思うのだ。でも結局はアメリカ人は耐えられなくなって、レーガンの軍拡になる。覇権国家は止められない。結局はパリ協定にもTPPにも戻って来るだろう。それはトランプを生贄にしてからだが。

麻生大臣の「その程度の国」と言うのも何となく分かる気がする。

この辺で締めたいと思います。

長文を読んで下さってありがとうございました。

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村