SLBMと伊400

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北朝鮮のミサイル開発について書く。

最近何かと話題なのが大陸間弾道弾(ICBM)である。グァム近海に落とすとか言っているミサイルである。これは北朝鮮内から発射する長距離のミサイルで、米国内が射程とか色々言われている。

これとは別に話題になっているのが潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)だ。映像では水中からミサイルが飛び出すのが特徴的なミサイルである。弾道ミサイルなので放物線を描いて目標に落ちる。潜水艦に搭載しているだけで、それ以外は弾道ミサイルと大差ない。もちろんこれはアメリカもロシアも中国も持っている。3万トン級の大型潜水艦にSLBMを搭載して配備している。動力はもちろん原子力である。

以前「弾道ミサイルは戦線を移動して使いたかった」と言う説明をした。なのでドイツのV2ミサイルは最初から移動発射ができた。連合軍は発射位置が特定できず苦慮した。自由に動けるので発射前に空爆することが出来ない。結局フランスが解放されるまでドイツの報復は行われた。なので北朝鮮スカッドも移動発射が出来る。元々V2のコピーだからだ。

 

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これは偵察衛星のある現在でもそうだ。偵察衛星があってもずっと監視できるわけでは無い。軌道の制約があって、90分に一回しか監視できない。これは衛星が回っているからで一周回るの90分かかるからだ。なので衛星が通る時間も分かる。その間に発射準備して撃ってしまえば、衛星には引っかからない。衛星が監視する時間だけ、地下に隠れていればいいのだ。

SLBMも似たような構想である。陸上だと地下に隠れるが、海上では潜ればいい。そうして、隠密行動で近海から浮上してミサイルと発射すれば、長距離の大陸間弾道弾の代わりになる。大陸間弾道弾は発射設備も大がかりになるのでなかなか移動式にできないが、中、単距離なら移動式も容易だ。それを潜水艦に搭載するのである。

この構想のもとになったのが日本海軍が開発した「伊400」である。潜水空母である。潜水艦に攻撃機を3機搭載して、離陸はカタパルトを使って、攻撃後は着水して収容する。そのためフロートの着いている水上機だ。潜水艦に飛行機を搭載すると言う構想自体は各国にあったが、本当に攻撃機を3機搭載したの日本の「伊400」のみである。

これは日本軍の「パナマ運河攻撃作戦」の一環として開発された。当時のアメリカの造船所は東海岸にあった。ロサンゼルスとかサンフランシスコが発展するのは二次大戦後で、それまではまだまだ開拓地の域を出ていない。「怒りの葡萄」は1930年代の話である。オクラホマからカルフォルニアに開拓移住する話である。

でもって、東海岸で建造したアメリカの軍艦をどう太平洋に回すか?である。南アメリカマゼラン海峡経由だが、まず時間がかかる。燃費だって負担になる。だからアメリカは中米のパナマに運河を作った。これがパナマ運河だ。これは水門式で、結構面倒くさい。一艘づつ水位を調整して運河を渡る。閘門(こうもん)式運河とも言う。

ちなみにパナマ運河戦艦大和とも関係している。アメリカはパナマ運河で南米を回らずに太平洋に出られるようになったが、パナマ運河にも問題あった。運河の幅である。パナマックスと言う基準で全長294.1m、全幅32.3mまでの船しか通れない。これだと排水量は65000トンが限界だ。アメリカの戦艦「アイオワ級」はこれを基準に作られた。主砲40センチ9門で、これが限界だった。なので日本は全幅39mで最大72000トンの大和を作った。これなら「46センチ砲が乗っかる」からだ。「立体駐車場に3ナンバーは入らない」みたいな発想である。もちろん現代の10万トン以上の原子力空母はパナマ運河は使えない。マゼラン海峡まで回って太平洋に出る。

そしてその運河を潜水艦から飛行機で空襲して攻撃しようと言うのが日本軍のこの構想だ。運河が破壊されればアメリカの輸送の負担になる。もちろんアメリカの哨戒網を突破しないといけないので、潜水艦しかない。なので各国が1000トンクラスの潜水艦だったのに対して4000トンの巨大潜水艦を建造した。飛行機を積むためだ。アメリカまで航海できる航続距離も必要だ。そのためにも大きくする必要がある。

計画は伊400を10隻程度と従来の潜水艦数隻改造して20~30機程度の編成での攻撃を考えていたらしい。伊400は3隻が完成して、敗戦後は連合軍に接収された。

で、その潜水艦に飛行機を格納する「格納棟」の技術でSLBMの構想を作った。飛行機の代わりに弾道ミサイルで敵国を攻撃できると考えたのだ。飛行機を搭載するスペースにミサイルの発射装置を積めば近海から浮上して核ミサイルを使える。潜水して自由に隠密行動ができる。大型のICBMは削減交渉とかになるけど、潜水艦の核は対象外だ。それは潜水艦隠密性と核ミサイルの相性が軍事的に有効だからだ。なので「伊400」は「日本軍の特異なガラパゴス的恐竜進化」とも「早すぎた先見性」とも言われる。

もちろん北朝鮮の潜水艦もそのような運用を想定してSLBMを開発している。しかし実際の脅威となると大分低い。まず原潜でないので定期的に浮上しないといけない。その過程で攻撃すれば撃沈できる。あと船なのでどうしても制約がある。北朝鮮からだと海峡を通らないと太平洋に出られない。宗谷海峡津軽海峡対馬海峡に網を張っておけば阻止できる。映画「Uボート」でもジブラルタル海峡を突破することを断念して帰還する。「あんな狭い海峡は突破できない」と乗員が言うシーンもある。北朝鮮が潜水艦を作っても日本海から出られないのだ。

あと補給の問題は常にある。長期航海は難しい。燃料はともかく、水や食料はどうしても補給しないといけない。原潜の問題は実は「乗員の食料をどうするか?」である。
原子力で燃料は持つ。水や酸素も作れるようになった。でも食料だけはどうにもできない。特に野菜などの生鮮食品は難しい。すぐ腐ってしまうからだ。特に野菜の保存は難しい。それは家庭の主婦でも経験があるだろう。定期的に寄港して補給しなければならない。これは潜水艦に限った話でもない。船である以上食料を補給しないとやっていけない。イギリスやアメリカが日本を重視したのは「極東で自由に使える補給港が欲しかった」からである。

したがって、アメリカの関心は大陸間弾道弾で、潜水艦はそれほどでもない。どうせアメリカ近海までたどり着けないのだ。中国の潜水艦でも難しい。日本海東シナ海の外に出るのは難しい。日本、台湾、フィリピンと警戒網があるからだ。そこから外洋には出られないからだ。アメリカの近海に行けなければ、ミサイルを撃っても届かないからだ。

多分SLBMの発射実験ならアメリカもそう反発はしないだろう。脅威にならないからね。そんなところに落ち着くと考えている。

この辺で締めたいと思います。

長文を読んで下さってありがとうございました。

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