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トランプと法治主義


トランプの大統領令に連邦裁判所が差し止めの仮処分を出した。

これによってイスラム圏の7か国の入国禁止が差し止められた。経緯は省くが、まあテロ対策とかISの問題や移民の問題もあるだろう。それに対して「入国禁止」を公約にして当選したトランプ大統領が権限として発行したのが今回の大統領令である。それを「憲法違反」として差し止めたのが連邦裁判所である。

当然トランプは不服で控訴し、ツイッターで裁判所を非難している。でもだからと言ってこの判決は覆る訳でもない。上級の高等裁判所で審議されて、新たな判断が示される。その間は、現状の仮処分は有効である。これは仮処分に対する不服申し立てであって本訴ではない。

仮処分とは何かついてだが、現状の行為を一時差し止めるために「とりあえず止める」などの命令である。たとえば工事など、裁判で争っているうちに工事が完成してしまったら、現状に戻すことは不可能だ。そのような場合は緊急避難的に止めるしかないのである。だからあくまで「仮」であって、不服の場合は本訴して争うことができる。しかし「仮」であっても本訴で判決が確定するまでは仮処分は有効だ。

なので現状ではビザを持っていれば当該7か国の人間でも入国は可能だ。とりあえず混乱は収まるだろう。そして、その間に急いで帰国すれば良いのだ。これはいくらトランプであっても止められない。大統領令は執行停止なのだから。

そしてこの大統領令は期限付きである。最短で90日、シリアだけは無期限だが有効期限がある。そしてこの問題は最高裁判所まで争うだろう。結審まで時間がかかるのだ。上手くすれば90日くらいすぐ経ってしまう。どのみち期限切れなのである。

この判断について、どうのこうの言うつもりはない。法廷闘争なので「勝ち負け」である。勝ったリベラル派は「当然で良い判断」と言うし、負けたトランプは「不当で不公正な判断」と言うに決まってる。これは何もトランプに限ったことではない。負けた判決は誰でも「不当判決」なのだ。だから控訴や上告して争うのである。

今回の仮処分の理由は「大統領令そのものが憲法違反」にあたるという判断である。法治主義においては当然なのだが、今一つ日本では理解されていない。

そこで法治主義に考えてみたいと思う。

法の無い国と言うのはまず聞いたことがない。民主主義にしろ封建制度にしろ共産主義にしろ「何らかの法」は存在する。戦前の日本だって「大日本帝国憲法」があるし、ナチスドイツにも法律がある。

そして「法治主義」とは何かと言えば「法に従って国を統治する」と言う考え方だ。つまり「善悪は法によって決める」と言うことで、まず法が基準であって、それに従って善悪決めると言うのが「法治主義」である。だから「悪法であっても法は法であって違法はだめ」なのである。もちろん「悪法だから法を改正すべき」と言う意見は正当である。規則を変えるだけなのだから。

でもって憲法とは何かである。国の骨格を決める法律とかなのだが。これだといまいちふわふわしていてよくわからない。もう少し噛み砕いて考えてみよう。

まず、ある集団がある。コミュニティと言ってもいい。集団である以上、集団として意思決定がある。例えばマンションの管理組合にしろ、町内会にしろ、集団としての何等かの問題に直面する。マンションの建て替えとか、水道工事が必要とか。町内会なら、お祭りとか地域の活動とか。

それを、どう判断して誰が決定していくか?が憲法なのである。例えば町内会長をどうやって選出するとか、管理組合で言えば理事の選出とか。そしてその代表者の権限を定義するのが「憲法」なのである。町内会長であっても「来年から会費を値上げします」とか、勝手には決められないのである。マンションだったら「建て替えするから来月には出ていけ」とも言えない。そう言う規約が書いてあるのが「憲法」なのである。

そして国と言うのも人の集団である。そして国の意思決定の方法が書かれてるのが「憲法」で、政府は「その憲法」によって「承認」された「国の管理組織」に過ぎないのである。もちろん、誰が承認するのかも「憲法」に書かれている。「主権者」と言う概念である。現在は「民主主義」だが、これ日本国憲法に「主権者は国民である」と明記されてるからだ。戦前は主権者は天皇だった。だから「立憲君主制」と言われる。

たしかに日本は主権在民だけど、だからと言って「すべてを国民投票で決める」と言う事は不可能だ。決めることが多すぎるし、第一コスト的に不可能である。だから選挙で代表者を選んで、委任するのである。これが「間接民主制」である。

もちろん権利を委任されているから国の意思決定を代行できる。しかし「だからと言ってな何でもできる」訳ではない。それも書かれるのも「憲法」である。だから「法律の改正」は「国会議員でもできる」が、「憲法の改正」は「直接国民が投票して決める」のである。つまり「憲法を変える権限」は「国会議員にはない」のである。それはあくまで「意思決定は主権者である国民が決める」と言う原則があるからである。

もちろん、その他もろもろの権限の範囲と言うのが憲法に規定されてれる。総理の権限や裁判所の権限などである。

三権分立と言うのはその国民から委任された権限をどう配分するかのことである。簡単に言えば立法、行政、司法であるが。それも当然「憲法に書かれいる」からである。

立法と言うのは「法律を作る」ことだが、よく「違憲」と言う聞く。これは憲法の「国の最高法規」と憲法に書かれてているからで、法にも序列がある。上位である憲法に矛盾した法律や違反した法律はたとえ国会でも作れないのである。だから自衛隊が問題になる訳である。そして同様に条例も憲法や法律に矛盾した条例は作れない。それは「それらの下位に属する規約」なのだから。

行政と言うのはその憲法や法律に従って国家を運営する機関である。例えば税金は「納税の義務」と言う憲法の規定に従って徴収する。その徴収機関のことを「国税庁」と言うのである。だから国税庁も法に決められている以上の税金を徴収してはいけないのである。

司法と言うのは審査機関である。その法律が憲法に従ってきちんと立法されているか、そして法律に照らして正しく運用されているか、それを国民が守っているかを審査する機関である。法は集団が守らなくてはいけない規約なのだから、主権者であっても守らないといけないのである。それを審査するのが司法である。

だからといって、裁判官の主観で判断して良いと言う話ではない。あくまで「憲法」と言う規約を前提に判断しなければいけない。憲法に矛盾した判断はできないのである。「おれがルールブックだ」はだめなのである。ルールは憲法で、これが絶対なのである。

三権分立と言うは、その権限三つに分けて「相互監視とトリプルチェック」しようと言う事である。立法が変な事をしたら行政と司法でチェックする。どうように行政が変なことをしたら、それを立法と行政がチェックして是正するのが「三権分立」なのだ。

そして今回のトランプの大統領は、司法から「仮処分」と言う判断が出た。チェックなのだから当然である。もちろんそれは「憲法」と照らし合わせて判断している。誰であっても「法」には従わなければいけない。それが「法治主義」である。

まあトランプは大統領になったから「アメリカ合衆国のトップに立った」と思って何でもできると思ってるみたい見えるが、それは間違いである。政府は集団の管理機関であって、主権者ではない。そしてその集団で決めた「憲法」に従って、国家運営をしなければいけないのである。

法によって選ばれたトランプ大統領が、法に規定されている大統領令と言う権限使ってるにも拘わらず「違憲判断」にむくれるのはおかしな話である。まあ言う通りにならないから、駄々っ子みたいな振る舞いもするのであろうが、見ていて滑稽である。

天に対して唾を吐くとはこう言うことだと考える。

この辺で締めたいと思います。

長文を読んで下さってありがとうございます。

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